サプライヤー

最高品質の原材料を調達することは、LVMHの製品の魅力と責任の枠組みを支える鍵のひとつです。スコープ3の排出量がLVMHのカーボンフットプリントの96%を占めていることから、購買部門および環境開発部門は、より持続可能性の高い新たなサプライチェーンの構築を目指しています。社会プログラムの一環として特定の取り組みが講じられており、当グループは、サプライヤーとそのサービス提供者が人権を遵守するように図ること、そして各々が最善の雇用・健康・安全環境を整備できるよう支援することに努めています。

購買方針の監視

当グループの購買部門と傘下メゾンの購買チームは、品質、コスト管理、調達のリードタイムに最終的な責任を負っています。その責任には、当グループのバリューチェーン全体でサプライヤーおよび商業パートナー行動規範を遵守してもらうことも含まれます。同規範には、LVMHがパートナー、サプライヤー、そしてその下請業者に設けている倫理的および社会・環境的責任に関する要件が定められています。各メゾンの購買マネージャーおよび主要な戦略的サプライチェーン マネージャーから構成される責任ある購買委員会は、当グループが環境と人権に関するコミットメントを遵守しているか監視することを業務のひとつとしています。

リスクの特定と全体的な前進

LVMHは、卓越性の共同の追求を強化する総合的なサプライヤー評価・支援プログラムを長期にわたって実施してきました。事業の多様性と世界的な活動範囲を踏まえて、当グループは、直面する個別の状況に合わせてアプローチを取っています。当グループの警戒枠組みは、各メゾンが作成したリスクマップとグローバルマップに基づいています。分析されたリスクは、人権、環境保護、そして腐敗対策へのコミットメントを反映しています。その目的は、優先的な行動が必要な領域を特定し、サプライヤーがそれぞれの慣行を継続的に改善できるように支援することです。

また、LVMHは従業員およびサプライヤーの研修を責任ある購買プログラムの基軸としています。2023年12月に発表された「LIFE 360 ビジネスパートナー」計画では、同プログラムの環境的な側面が拡張されました。さらに、当グループは「カラージェムストーンワーキンググループ」や「ダイヤモンド調達保証プロトコル」、「持続可能な派生物のための行動」など、高リスクなサプライチェーンの部門イニシアティブにも積極的に参画しています。

サプライヤーの地理的分布

(1) 表のデータは2021年度のデータです。 2023年のグループのサプライヤー分布は、現在作成中です。

ヨーロッパ北米アジアその他
購入量別サプライヤーの分布 (%)
64
18
17
1
サプライヤー数の分布 (%)
78
10
10
2
監査の分布 (%)
66
3
30
2

3つの補足手順に基づく購買プロセス

LVMHは収束プログラムにより、サプライヤー関連の非金融リスクについて、厳重な管理を維持しようと図っています。同プログラムは、ベリスク・メープルクロフト(Verisk Maplecroft)社と共同で作成されたグローバルマップを基盤としています。サプライヤーはリスクの深刻度に基づいて格付けを受けます。極めて重要である(ミッションクリティカル)として高リスクのカテゴリーに分類されたサプライヤーは、EcoVadisプラットフォームを用いた評価を受けます。同プログラムでは、現地監査も行われます。

この3つの補足手順を伴う広範な分析プロセスのもとで、コンプライアンス違反が特定された場合には是正措置を伴う行動計画が実行されます。その目的は、サプライヤーが個々の業務要件に整合するアプローチを採用して前進できるように支援することです。

グループ内で調和の取れたアプローチを取るために、傘下メゾンは標準化された監査枠組みを適用します。一部のメゾンでは、サプライヤーの従業員に対して労働条件に関する匿名または秘密のフィードバックを求め、従業員の基本的権利が侵害されていれば探知できる仕組みを整えています。

詳細に関しては、共通発行者情報の経営報告の項目を参照してください。

「2023年に、LVMHはLIFE 360ビジネスパートナー プログラムを立ち上げました。その目標はひとつでシンプル。LIFE 360の意欲的な環境コミットメントを達成するうえで、サプライヤーとパートナーを緊密に関与させることです。これが最重要事項に掲げられている理由は、スコープ3がLVMHのカーボンフットプリントの96%を占めているからです。この排出量はバリューチェーンの上流と下流に左右されているため、管理が非常に困難であり、単独では達成できません。LIFE 360ビジネスパートナーによって、当グループとサプライヤーは、持続可能性に高度なアプローチを取れるようになります。同プログラムのイニシアティブは、環境開発部門と二人三脚で徐々に策定・整理していく予定です」

モハメド・マルフーク、

LVMH オペレーション ディレクター

LIFE ビジネスパートナー

当グループは、エコシステム内で協力して二酸化炭素排出量を削減することの重要性に向き合い、「LIFE 360ビジネスパートナー」を立ち上げました。同プログラムは一部のメゾンによる既存の移行計画に基づいており、2024年に開催する「持続可能性のためのビジネス・パートナー・デー(Sustainability Business Partners Days)」でサプライヤーが表明するニーズに従い進展していく予定です。作業グループがコミュニケーションを促進し、知識や研修アプローチ、規制監督の共有化を後押しすることで、ソリューションや知見をまとめるためのプラットフォームを創設していきます。

責任ある購買に関する従業員の継続的な研修

当グループは、Des Enjeux et des Hommes社と協力して考案した、責任ある購買に関する研修を導入しました。その理由は、LVMHが倫理・社会・環境的な目標を達成するうえで、戦略的サプライチェーンを直接監視する者全員に十分に関与してもらうことです。2022年以降、ヨーロッパ、北アメリカ、アジアで9度に及ぶ対面研修セッションが開かれました。

戦略的サプライヤーの技能向上の指導

LVMHは、戦略的サプライヤーの特別研修枠組みを導入しました。2023年、特定の国に固有のニーズへ焦点を合わせた研修セッションが再度実施され、これで中国では5年連続、イタリアでは3度目の開催となります。また、各メゾンは、サプライチェーンで遭遇する業務上の課題に合わせて特別に考案されるモジュールも策定しています。例えばティファニーでは、インドのダイヤモンドおよび宝石のサプライヤーに向けて、ジャイプルとスーラトで2023年秋に研修セッションを行いました。

「ウタン(Utthan)」プログラムのもとで生活賃金を保証する業界の取り組みへ参画

2018年以降、LVMHは、刺繍部門の主要な産業バイヤーが主導するイニシアティブ「ウタン」に参画しています。その目標は、ムンバイの高級な刺繍技術の評価を高めることです。ムンバイには、傘下メゾンの多くのパートナー刺繍職人が生活と仕事の拠点を置いています。本プログラムでは、刺繍職人への現地研修セッションに加えて、2023年に3,000人のカリガー(インドにおける刺繍職人の呼称)を対象に調査を行い、一人ひとりに生活賃金と医療アクセスを保証するプロトコルを立ち上げました。

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